痔 瘻

 痔痩(じろう)とは、肛門のまわりからジクジクとウミが出る状態をいいます。普通 はその前段階として肛門にウミがたまってはれる肛門周囲膿瘍があります。

痔痩の成立ち(1)
 肛門の構造のところで歯状線というのがでてきましたが、これは山と谷のようになっています。谷のところを横から見ると、丁度ポケットのような形をしています。このポケットの大きさや深さには個人差があります。大きくて深いポケットには下痢便がたまりやすいのです。普段は何ともなくても、睡眠不足や疲れがあって体の抵抗力が弱まっているときに下痢をすると、大きくて深いポケットに下痢便がたまり、細菌が繁殖して炎症がおこります。ウミがたまってくると肛門の周囲がはれて痛くなります。この状態を肛門周囲膿瘍といいます。ウミがどんどんたまってくると痛みがひどく熱も出るようになり、そのうちに自然に破れてウミが出て痛みがなくなります。普通 はウミがたまってお尻が痛くなった時点で医療機関を訪れますから、切開してウミを出してもらうことになります。ウミが出てしまうと痛みもなくなり、炎症もおさまってはれもひいてしまいます。そうなると肛門にはバイパスができることになります。即ち、肛門の奥にある深いポケットを入口として肛門の外側の出口に至る一本の管ができます。この状態を痔瘻といいます。


 (図9-1)痔瘻




産婦人科・肛門科  畑中医院 <<<topページへ